◆2025(令和7)年度 共通テスト終了
今年度の共通テストが本試・追再試ともに終了しました。簡単にコメントをしておきます。
結論として、想定内の、なかでも平易な方に入る出題でした。最も懸念された時間不足という量的問題は、回避されていたと思います。すべての選択肢を4択にしたのは偶然の正解率(まぐれ当たりの起こりやすさ)を高めているだけで、かつて「記述の必要性」を説いていた精神に反し、矛盾していますし、良策とも思えませんが、多くの受験者の時間的な負担感を減らしはしたでしょう。むしろ、センター試験の時とは異なる、煩雑なだけで高度な読解力や思考力を問うているとは思えない新奇な設問を減らしたことで時間的余裕ができた点は、評価できると思います。受験生の皆さんに、私はセンター試験の過去問を解くように述べてきましたので、まあそれはよかったと思います。
第3問の実用的文章は、試作問題よりもシンプルになっており、こちらも時間的問題は解消されていたと思います。おかしな「予想問題」をたくさん解いていた人は、拍子抜けしたと思います。
現・古・漢の全般において、時間的配慮を行い選択肢を減らしただけではなく、無理な奇問をなくしてシンプルに基礎的事項を問う設問を増やしたこと、それぞれの大問に一つ程度の若干難しい設問を配して学力の差を見ようとしているといった点は、学力テストとしてほぼ適切に機能したと評価できると思います。
ただ、そうまでして第3問(実用的文章)を実施し続ける意味はないと思います。大学で学び、自発的に研究する能力は、この「実用」という名を冠したテストで測れるとは思えませんし、これを実施するために、本来の基礎的な評論・小説の問題を4択にしないといけないというのなら、上述の通り、偶然正答する率を上げてしまうという弊害の方が大きいでしょう。(とはいえ、一度始めてしまったものをすぐには止められないでしょうから、せめて今後も「第3問はこの程度にしておくという良識」を期待します。逆に、来年以降の受験生の皆さんは、少しは難化する可能性が高いですから、甘く見ない方が良いと思います。)
それでは、受験生や受験生に関わるみなさん、個別試験の終了まで、頑張りましょう。きっと頑張れます。