◆共通テスト前夜

 いよいよ、令和4(2022)年度の共通テストですね。
 ただでさえ、新しい入試形態で不明なことが多いうえに、寒波にオミクロン株の蔓延と、厳しい状況ですが、苦しいのは受験生の常、ここまできたら、平常心で対処しましょう。

 以前にもここで書きましたが、現代文問題に限定して言えば、昨年の初回共通テストは、記述式問題の不採用という、直前での方針転換のせいで、十分に準備されたものではなかったと考えています。たとえば、過去のセンター試験問題と比較した場合に、「新しい」という印象が乏しいものでした。しかし、今回は、あれから1年(それでも十分な準備時間があったとはいえないでしょうが)、「これが新しい学力観を反映したテスト問題だ」と言いうる程度の改変を加えてくると推測されるのです。

 となれば、問題タイプが初見である以上、その新しさに受験生は対応できていないわけですから、試験中に戸惑いを感じ、設問要求や設問意図の理解に時間がかかり、時間不足による失敗が起こる可能性があります。さらに、本文と設問の難度がアップしている可能性も高いでしょう。

 そこで、試験中に注意すべき事柄を、以下に記しておきます。

(1) リード文・注・設問文は、いわば出題者からのヒント・メッセージです。本文の出典名や注にも、読解や設問解答上の手がかりがあります。
(2) 図表(絵・写真・グラフ等)・資料(短文・法令・ノート等)・対話などは、「本文」をメインとすれば、その具体例類(具体例・引用・比喩の類)のようなものです。具体例類は本文との関連を意識して関連設問を解きましょう。
(3) 【資料】は本文とは異なり、あくまでも設問を解くための【資料】ですから、先にしっかりと設問要求を確認してから、その答えを探すというつもりで資料を調べましょう。
(4) 対話タイプの設問では、本文のキーワードと設問要求と対話との関係、また、設問対象となっている対話(空欄のある発言など)と、その前後の対話とのつながりに注意しましょう。
(5) 対比構造型の選択肢では、単なるA:Bという発想ではなく、AとBのうち、メイン項の側の正答条件で先に選択肢を絞りましょう。
(6) 「構成の説明」問題では、「主題・結論・具体例類」の説明に関する正誤判定に集中して解きましょう。
(7) 「適当でないものを選べ」では、明らかな誤り、矛盾の存在が正解要件です。本文と関係のないことを述べている気がする、という程度なら、保留として次の選択肢を先に吟味しましょう。
(8) 本文や資料の最終センテンスは、読解時だけでなく、結論(全体要旨)確認問題(問5あたり)の解答時など、設問解答のときにも再確認しましょう。
(9) 積極的に正答要件で選択肢を絞ったのち、2択程度で判定が難しくなったら、その選択肢の述部を集中的に比較しましょう。基本は「主語・述語、指示内容とキーワード」です。
(10) 一般に、選択肢の正誤判定中に微妙であると感じられたら、無理に確定しようと固執せず「判断の留保」を適切に行い、次の選択肢に進みましょう。読解時も、「内容が分からなくなってきた」と思っても、前半で考え込んだり、戻ったりするより、その箇所の理解は保留して、先を読みましょう。10分以内に本文(プラス資料など)の読解は終えなければならないからです。時間不足だ、ということだけはないように、時間は自分でしっかりマネジメントしてください!

 こういうことは、今からでも意識して取り組めると思います。
 それでは、受験生の皆さんのご健闘をお祈りします。