◆2020追試を2021に!

【提 言】
2021年1月の大学入学共通テスト本試験の国語問題は2020年1月用のセンター試験の「追試験問題」を流用し、80分実施としましょう。

2021年1月に大学入学共通テストとして国語(現代文)に記述式問題を導入しようとすることの無謀さ、不当さは明らかになりました。あとは当局の延期・中止決断を待つのみです。もちろん国会での決議によるものでも結果は同じです。

ただ、文科省・大学入試センターが延期・中止について二の足を踏む理由として推測されるもののうち、「間に合わないのではないか」というものがあるでしょう。前述の通り、

従来:国語(評論・小説・古文・漢文)   80分
今後:国語(記述・評論・小説・古文・漢文)100分

このように変わるとされています。ところが、奇妙な「実用国語」もしくは「論理国語」――こうしたネーミングも単なるセンスの問題を超えて問題含みですが――は、記述式を出題するので大学入試センターが解答時間30分を想定しており、実際、40字・80字・120字と記述式問題を3題出題すれば、どうしても20分では物理的に解答が不可能でしょう。

この「記述式30分」のしわ寄せとして、当然「マーク式4題70分」というおかしな形で、従来よりも質の劣化したマーク式テストを実施せざるをえなくなります。試行調査の現代文問題を見るかぎり、やたらと短い選択肢で単純な内容を問う問題が多くなっています。15分かそこらで解かせることを狙ったのでしょうが、「記述式さえ実施すれば、それでよいのか」と、憤りを覚えます。「解答時間が不足するので、従来のようなまともなマーク式問題の作成・出題すらできなくなる」という問題点も、大学入学共通テストにはあるのです。

さてそこで、記述式問題を延期・中止してしまうと、記述式導入を前提に無理やり作問した劣化型マーク式問題のみの70分実施という情けないことになり、それはそれで批判が巻き起こるのは目に見えています。このため、そういう理由からも、大学入試センターは記述式の延期・中止には二の足を踏むだろう、と推測されるわけです。もちろん、今から従来のような良問を作ればよいではないかということにはなりますが、後14ヶ月は少し厳しいのかもしれません(私たち「民間」で働く者には十分な時間ですが)。

したがって、冒頭の提言になります。本当は今から頑張ってよいマーク式問題を作っていただきたい(ぜひそうしていただきたい)のですが、そのインセンティヴと時間・マンパワーがあるかということですね。そこで、来年2020年1月実施用の追試験問題(受験者数500人程度と予想)はもう出来ていると思われますので、これを2021年1月の本試験に流用してはいかがでしょうか。50万人の受験生を救うには致し方ないでしょう。そして、2020年1月の追試験は実施せず、やむを得ない事情で本試験が受検できなかった受験生への救済措置を別途考えるか、追試専用の学力テストを早急に作る等、緊急にこちらの対策も並行して考える、ということです。

「時間がないなど諸般の事情で、共通テストは記述でGOするしかない」などという言い逃れは通らないと考えます。